あけましておめでとうございます。
さて、昨日の続きですが、僕がコーヒー業界に入るきっかけ。
ただ、長くなるので読み飽きそうな方はそのまま放置してください。僕が勝手に書きたいことを書いているので、お付き合い頂く方だけよろしくお願いいたします。
まさにタイトル通り。スペシャルティコーヒーに出会ったからです。
僕が出会った2005年スペシャルティコーヒーという言葉自体、全国的にも知ってる人は1割もいなかったのではないでしょうか。
というのも2000年頃からようやく、ランクの確立がされていったくらいでした。
ただ、その味わいは今までに味わったことの無い、澄んだテイストで香りの深いふくよかな味わい。
僕が珈琲屋になると決心させたきっかけの豆。あの当時カップオブエクセレンス入賞ロットから漏れたロットをナショナルウィナーという呼び方ではなく・・・。そこを忘れたのですが、そのロット(ブラジル・カルモ農園ムンドノーボ種)が、僕の体を突き抜けるほどの衝撃を与えたのです。
「これはコーヒー業界が恐ろしいスピードの変革を遂げる」「この品質の豆を求めるユーザーが日本で増えていく」そう思ったのです。
僕はその証拠にお店の開店当初からカップ・オブ・エクセレンス入賞ロットを扱っています。
当時はまだ人気が無く、求める人も少なかったのでオークション結果も安く、僕のお店ではコロンビアのカップ・オブ・エクセレンスだったのですが600円台後半で販売していました。
それでもお客さんからは「高い」と言われることも多く、そのほとんどを廃棄。
ただ、飲んで頂いた方は「初めて飲んだ味」「あれはもうないの?」と好評頂いていました。
僕は確信していました。「これだけ良いものは知って頂く機会を作れば良いだけ」と。
そのためには段階的にやっていく必要がありました。
いきなり1000円近くする珈琲を飛び級のように飲むわけがない。
そこで、まずは楽しく、そして、正しく飲んで頂いて品質の良いコーヒーは何かを知って頂く機会をコーヒー教室を重ねていきました。
これは本当に1つ1つ丁寧に積み上げてきて良かったと振り返って思います。
結構言われるのが、コーヒーの専門店というだけで頑固なおやじが居そうで入りにくい。というイメージを抱く方も多いのです。
でも、実際にお店に来たことの無い方でも、コーヒー教室に参加してくださり、僕のようなただのふざけたオッチャンがやってると分かって、来店するきっかけにもなったので良かったです。
コーヒー教室は本当にゆっくりとした波及効果ですが、確実にそして、その波の強さは顕著に表れました。
僕は教室内でよくお伝えすることがあります。
特に最近のコンビニコーヒーの普及が著しいので「カップオブエクセレンス入賞のような豆は高い、ただ1杯あたりにするとコンビニコーヒーと変わらない価格で飲むことが出来る最高に贅沢の出来る飲み物」
これは僕が大学時代に自家焙煎店に通うきっかけとなった価値観でした。
コーヒーが大好きだった僕はお金も学生時代で無く、それでも毎日コーヒーが飲みたいので自家焙煎店で豆を買ってきて、家で淹れて楽しむ。
豆を購入されるユーザーの方は大体収入ベースが高いと言われています。
ただ、僕はその反対でお金が無い学生時代だったからこその自家焙煎店、当時通っていたお店はほとんどが400円台後半~500円台の豆がだったので、1杯あたり約30円台~約50円台(淹れる杯数分で変わってきます)なので学生にも1ヶ月毎日飲んでも負担が無いのです。
1杯あたりにすると世界最高峰の豆でも本当にリーズナブル。現在コロナで開催出来ていませんが、今もコーヒー教室でお伝えしています。
その僕の価値観に同調してくれる方は、順調に増えていきました。
ずっと扱ってきたエスメラルダ農園ゲイシャ種の販売。ここ5年くらい、即完売となるようになりました。
その光景を目の当たりにして「想いは伝わる」「やってきた道は正しかった」という事を実感しています。
そして、コーヒーは更なる変革を遂げています。それは新精選方法の確立です。
現在カップオブエクセレンス入賞ロットに新しい精選方法の豆が出てきています。
少し簡略化し書きますが、それは今までそのまま干して仕上げるか、水で洗って干すかの2つに大別されるものが多く、その間のパルプドナチュラルくらいのものでした。
そこに、人工的に発酵を促す技術(アナエロビックファーメンテーション)がコーヒーの更なる香味の可能性が広がりました。
早速僕はその豆を買い付け、この1月にブラジル・フルッタメルカドン、コスタリカ・エラ農園の発売を決定しました。
そして、これも初ですが第一回目のモカのカップオブエクセレンス入賞ロットがやってきます。
より良いものを生産者が提供し、消費者がその品質に見合った価格で買う。スペシャルティコーヒーの理念です。
スペシャルティコーヒーが出てくるまで、消費国が安く作れ、大量に作れと生産者に圧をかけ、 生産者はやる気を失い、品質が下がり、やがてコーヒーの消費自体が少なくなった過去がありました。
スペシャルティコーヒーのランクが確立されたおかげで、生産者もより良いものを生み出し、我々に提供してくれています。
コーヒー業界はまだまだ発展します。
まだ振り返るには早いですが、この業界に入り進んできて良かったと実感しています。
2021年も焙煎技術を高め、より良いコーヒーをお客様に提供できるよう精進して参ります。