画はテースティング風景
おいしいコーヒーの条件とは1に素材(生豆)、2に焙煎、3に抽出と今まで書いてきました。
これをパーセンテージで重要度を書くとおいしいコーヒーの条件として占める割合は素材70%、焙煎20%、抽出10%といったところでしょう。
素材の中にはもちろん焙煎後の鮮度も含まれるわけですが、1番は生豆の品質です。
ですから、生豆の品質の知識を常に勉強していないとおいしいコーヒーは成しえません。
通常の場合焙煎を取り仕切る焙煎士が豆を選択し、焙煎を行うので焙煎士の
知識量、技術量がコーヒーのおいしさを司っています。
ですが、これも最近の話です。
近年スペシャルティコーヒーの登場によりコーヒー業界は変わりました。
2000年以降この流れができましたが、それ以前のコーヒーのおいしさは淹れ方で変わるといったその程度のものでしかなかったのです。
スペシャルティコーヒーを扱っていないお店だと商社が流してくる豆(サントス、スプレモ、AA、SHBといった輸出規格だけで分けられたもの)を選ばずに買うだけなので選ぶ必要がないのです。
そして今もなお流通している豆の大半は低品質な大量生産品ばかりです。
まだスペシャルティコーヒーの流通が少ない理由は、拘って生産されているため生産量が少なく、コストが高い、供給が安定しない、そして何よりも知識を持っている人が少なく扱わないのです。
コーヒーの文化は寂しいことに成熟していません。
でもなぜ歴史が古いのに成熟していかなかったのか?答えは消費を行うのが先進国のみで、生産国は後進国だからです。
やはり自国で生産し消費をすれば生産者はより良い物を提供して認められたいと思い、消費者はその品質に納得して見合った価格で購入し、それらが相乗効果となって文化的に成熟していきます。
ワインの文化が成熟しているのはこのバランスがうまくいったからに他ありません。
ですが、コーヒーの文化は先進国のために生産国が生産するため、上下関係が生まれ、消費国である先進国はより安く買い求め、安く買い求められた生産国は大量生産ばかりに目がいき、低品質化が進む。
本当に悲しい歴史です。
実際に最消費国であるアメリカでは1980年代にコーヒーの消費が大幅に減少しました。
そして、アメリカのコーヒー業界が危機感を強く感じるようになり、コーヒーの高品質化を求めていったのです。これがスペシャルティコーヒーの概念が生まれた理由です。
僕もコーヒー業界に従事する者として、コーヒーの文化をいきたいと思っています。
本日より発売開始したコーヒーハンター川島良彰氏の豆もその思いの下、扱うことを決定しました。
当店では開店以来、スペシャルティコーヒーの概念をより分かりやすくお伝えするため最高品質のカップオブエクセレンスを扱ってきました。
当初は一般的な豆の価格よりも高価なため理解されず、買い求めてくださるお客さんも少なかったのですが、それでも毎年扱い続けたため今では店頭に並べると即完売といった感じにまでなりました。
コーヒーの文化がもっと高まっていけばといつも思っています。