はまって観ているTV番組があります。
それはNHK総合で放送されている「ディープピープル」という番組です。
この番組はプロの方々を呼んでその業界の話を聞くという番組なのですが、この番組は従来の司会の方が一般人目線で質問をして番組進行を行なうものではなく、プロの方同士が対話をして番組を進めていくといった画期的な番組です。
僕は今まで「ボクシング世界チャンピオンの回」「柔道金メダリストの回」「漫才師の回」、そして今日の「寿司職人の回」を観ましたがどの回も斬新で真新しい話が聞けてとてもワクワクします。
ボクシングの回では長谷川選手のカウンターの極意は「相手の呼吸を読む」や柔道家の回では「柔道家の足は畳を掴むように立っているため変形している」や漫才師の回では「ネタ作りの進め方」。
このようなに一般人では耳にする事のない、まさに「ディープ」な話が盛りだくさんなのです。
そして、今回は寿司職人の回。僕も食に携わる職人の端くれとしてとても興味がありました。
シャリの握り方では共通した意識はあるものの、微妙に握りに対する感覚の違いや、どうネタを選ぶか、職人としての楽しみについて語っていました。
やはり聞いていて寿司とコーヒー、物は違えど似たところがあるものだと思いました。
「ネタ選びは第一に産地」なんて話はコーヒーも同様です。
番組を観ている僕はもちろんですが、出演者の方もとても楽しんで番組を進めていると思います。
僕自身の話になるのですが、僕は同業の焙煎士に話を聞くのが大好きなのです。
県外や遠方に出るときはある程度お店を調べ、スペシャルティ専門のお店に絞って訪れるのですが、そこでなるべく店主の方、焙煎士とコミュニケーションをとるようにしています。
この業界はもともとコーヒー好きの人間がお店を始めている場合が多いので、いろいろな話を聞いても快くというよりも熱く語ってくれる人ばかりなのです。
そして僕が尊敬し、好意にさせていただいているお隣香川のマウンテンの矢野さんにはいろいろと話をしていつも勉強させてもらっています。
そこでちょっと僭越ではありますがちょっとした「ディープピープル」を書きたいと思います。少し難しいとは思いますがディープに進めたいと思います。
これは僕と矢野さんのドリップの考えの違いですが、
これは抽出温度についての話です。お湯は冷まして抽出するのが基本です。
そして詳しい温度は僕は85度。矢野さんは90度。
この温度どちらも正解でもあり不正解でもあるのです。
ここでお湯の温度と抽出スピードによって求める味が違ってくるのです。
お湯の温度が高いと成分もよく溶け出すが、雑味もでる。抽出スピードが遅い時も同様。
お湯の温度が低いと成分が溶け出しにくく、雑味も少ない。抽出温度が速い時も同様。
僕が求める味はアロマ(香り)が立ってなおかつどっしりした味わいのコーヒー。
矢野さんが求める味は嫌な苦味が少なくさらっとした味わいのコーヒー。
そして求める味に対してその味を引き出す道具がドリッパーです。
僕はアロマをしっかり生かすためメリタ1つ穴式でゆっくり。
矢野さんはさらっと感を生かすためカリタ3つ穴式で速い抽出。
焙煎士同士の考えを聞くとその方の求めている味が分かってとても面白いのです。
「ディープピープル」。マニアックな話がお好きな方にはおすすめな番組ですよ。HPはこちら
http://www.nhk.or.jp/deeppeople/