「逆ヘッド」タックル

一昨日のサモア戦で前半のトライを挙げ大活躍したウイングの山田選手が後半でタックルにいった際、相手の膝が側頭部に入り脳震盪で倒れタンカーで運ばれました。

脳震盪はラグビーを見ているとよく見掛ける場面です。

激しいコンタクトが行われているラグビーでは頭部をぶつけて脳震盪を起こすものです。

ただし、ラグビーをしていくうえで怪我をしないよう体を鍛え、技術を磨いて最大限に気を付けてプレーをしなくてはなりません。

実は昨日の山田選手のタックルは、ラグビー経験者の僕からすると「やってはいけない」とされるタックルなのです。

僕がラグビーを始めて最初に習ったことは、パスでもなくランプレーでもなく、「受け身」でした。

それぐらい安全面を一番に置いて指導を受けました。

その際にタックルの指導も受けたのが「やってはいけない」逆ヘッドのタックル。

これはタックルに行く際の頭の位置の指導です。頭の位置の指導を受ける目的は首の骨折や頭部の打撲、頭部を地面に打ち付けられ急性硬膜下血腫になるリスクを回避するためです。

基本の頭の位置は相手選手の体の外側に置くものです。

それを無視して相手選手の体の内側に頭を置いてしまうと山田選手のように膝が頭部に入ってしまう、また、首ごと進行方向に持っていかれて骨折をしてしまうのです。

それを山田選手は逆ヘッドでタックルに行きタンカーで運ばれたのです。

それでは、なぜ代表選手にまで選ばれているラグビー熟練者の山田選手が「やってはいけない」逆ヘッドタックルをしたのでしょう。

答えはただ一つ。自分の体を犠牲にしても相手選手を止めたいからです。

相手選手を止めるうえで、最短で体を入れられる体勢が逆ヘッドで最良の選択肢だったのです。

ラグビー選手ならば皆がその危険性を理解していて、それでも危険を顧みず逆ヘッドでタックルに行っている姿を見ると「あいつが身を挺して止めてくれた」とチームの士気がグッと上がるのです。

僕も山田選手の身を挺している姿を見て涙が出てしまいました。

実はラガーマンも体の大きい相手に恐怖を感じながらプレーをしています。

僕のようなレベルの低いプレイヤーでも、試合をしていて何度も恐怖は味わいました。

それでも「止めたい」と身を挺して戦っているのです。

ワールドカップは世界でも最小を誇るジャパンの戦士が海外の大男達に熱き想いを持って挑んでいるのです。

そんな視点から見てもラグビーは楽しいです。

まだまだブレイブブロッサムズ(桜の戦士)大注目です。

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