先日ネットのニュースで気になる記事があったのでピックアップします。
それは生レバー規制以降、O-157感染患者が4分の1に激減したとのことでした。
少し前まで食中毒で倒れていたため、この記事にグッと目を惹かれました。
このレバー規制は、記憶に新しい焼肉屋さんのユッケ問題に端を発しました。
記事を引用すると「規制前の2007〜10年と、生肉は表面を加熱後に切り取るよう求めた11年、生レバーの提供自体を禁止した12年を比較した。診断した医師が原因に生肉か生レバーを挙げていた事例について、集団発生を除いて分析すると、07〜10年は200人前後だったのに対し、11年は100人、12年は55人だった。」
この記事を読むと素直に「成果が出て良かったな」と思います。
ですが、反面でこれが扱う人間の無知や意識の低さで素晴らしい食材や食品が規制されるのは少し寂しい気がします。
僕自身コーヒーを扱う人間としてお客さんから頂く、コーヒーに対する間違ったイメージに愕然としてしまいます。
前提としてレバーとは違い、コーヒーは含水量が極端に少ないので「腐敗」は起こりません。
でも「胃もたれがする」、「酸味が嫌い」、「真空パックで包装されたコーヒーは新鮮」とよく言われます。
これらのイメージは扱う人間の無知や意識の低さが原因です。
すべてのことを正すと長々となるので避けますが、1つ間違ったイメージを正します。
当店に来店されるお客さんで最も多いのは「酸味が嫌い」というお客さんです。
でも試飲用に用意した酸味が特徴のコーヒーを飲んで頂くと「おいしい」と言ってくれます。
「酸味が特徴のコーヒーですよ」と説明すると「これは酸味じゃない」と驚かれます。
なぜこのような事が起こるのかというと。「酸味」の認識が違うからです。
「酸味が嫌い」といわれる方の多くはビネガー(酢)のすっぱい酸味のイメージで捉えています。
でも品評会、テイスターが評価するコーヒーの酸味とは柑橘類のようなフレッシュな酸味の事です。
でも特に大手コーヒーチェーンが手掛けるコーヒーはすっぱい酸味の物が多いのは事実です。
これは極端に浅煎りした結果、皆さんがいわれる「酸味」となります。
僕の焙煎では考えられない焙煎度で煎りあげています。ではなぜ、そんな浅煎りで煎りあげるのかというと、ここからは僕の推測で書きます。
コーヒー豆は焙煎度を深めていくと、質量が減るのです。
例えば1kgの生豆を焙煎すると仕上がりは800gになるのです。
例えばこれを浅煎りに仕上げれば850gという感じに仕上がります。いわばコストダウンになるのです。
極端に浅煎りし、さらに何ヶ月も店頭に置かれ劣化した豆は、嫌な酸味が増します。廃棄しないとロスはないので、これもコストダウンです。ちなみに当店では焙煎後1週間経つと廃棄しています。
「胃もたれがする」も劣化した豆が原因の1つになっています。鮮度の良い豆で、淹れたてのコーヒーを飲む限り、コーヒーの成分には胃もたれを引き起こす成分は含まれていません。
ですから、扱う人間の問題です。
ふぐのように毒を持つ食材でも、しっかり知識、技術を身につけた職人さんんが扱えばリスクは軽減できます。
すべて資格を取るというようなことは難しいと思いますが、提供する物に対し「いかに良い状態で提供できるか」という知識や意識は常に持ち続けていなければと思います。
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