いつも当店には色々な方が来店してくださり、「美味しかったよ」「またくるね」などと声を掛けてくださり、本当に嬉しくありがたい気持ちに満たされます。
そして、そのなかでも忘れられない特別な感情を抱くお客さんがいます。
そんなお客さんの一人が今日来店してくれました。
そのお客さんは僕より一回り年下で、現在京都の国立名門大学に通う大学3年生です。
約5年前。当店がオープンして半年を迎えようとしていた頃。雨の日の出来事でした。
お店の軒先に雨合羽を着て自転車に跨った高校生がふと止まりました。
お店のお客さんの年齢層ではないので「雨宿りかぁ」と思って見ていました。
そうしたら直後、合羽を脱ぎお店に入って来たのです。
僕「いらっしゃいませ」
彼「豆をわけてくれませんか?」
僕「ご両親のお使いですか?良いことですね」
彼「いいえ。僕が家で飲ませていただく用です」
僕自身自家焙煎店に通い始めた当時が20歳の時でしたが、周りの同世代の友人に「大人だなぁ」といわれたりしていたのでとても少数派だったと思います。
それなのに高校生の青年が自分用のコーヒーを少ないお小遣いの中から当店に求めに来てくれたのですから、とても感激しました。
また、持っているカバンを見ると野球部の所属だったので、僕の野球好きが講じて「君、○高の野球部なんだ?」から始まり野球の話で盛り上がりました。
そして、彼もとても当店を気に入ってくれて、毎月1回のペースで来店してくれて彼が高校卒業まで続きました。
そして京都の大学に行ってからは夏休み、冬休みには来店してくれて今でも続けて来店してくれているのです。
僕がお店を始めたのが20代後半。今年33歳です。
そして彼が初めてお店にきてくれたのが10代の後半。現在大学3年生の21歳。
当店が彼の人生の一部に携われているのをとても嬉しく思います。
今日は彼が自分の夢について語ってくれて「研究者になりたい」と言っていました。
夢を持って突き進んでいる若者を見て、自分の事のように嬉しく思いました。
M君いつもありがとう。