焙煎機と化学変化


ちょっと今日は専門的な話というよりも化学と焙煎の話をさせてもらいます。

これは僕が焙煎の化学の本を読み、より深く焙煎技術に活かせたらと思い、苦手な化学の知識を取り入れてみたのです。

実は焙煎機は大きく分けて3タイプに分かれます。

1・直火式。書いたままの火が直接豆に当たる方式。手網で焼き魚を焼いていくような感じです。

2・熱風式。焙煎機に熱風を送り込む方式。熱伝導率が一番良い。オーブン調理のようなもの。

3・半熱風式。熱風式と直火式の間といった焙煎機。フライパン調理のようなもの。

直火式と半熱風式は自家焙煎店のような中小規模のロースターが主に使っています。ちなみに焙煎時間は約15分。

そして熱風式は大手企業が使っています。60kg〜数百kg煎ることの出来る業務用です。ちなみに焙煎時間は約5分。

ここから少し化学的な話を用いて焙煎を語りたいとおもいます。

というのも最近に新居浜にコーヒー豆や輸入食材を扱うチェーン店が出来、そこのお店が一部スペシャルティを扱っているので興味があり試したく思い豆を購入したのです。

やはり熱風式焙煎機なのでしょう。熱風式焙煎機の限界を感じました。

熱風式は5分ぐらいで煎りあがります。何十キロ、何百キロを一気に煎ることが出来て1時間煎り続けたら数トンも煎ることの出来る効率の良いマシンです。

ただ効率が良くてもおいしい成分は充分に引き出せません。コーヒーは煎りあげる工程で180度前後から一段とおいしい成分、苦味、甘味、香りが増えるといわれます。

苦味の主成分は糖類がカラメル化したものや糖類を含めた有機物が炭化したものと考えられます。

カラメル化した苦味は甘味を感じすっと引く苦味です。嫌な苦味は炭化したものです。煙の排気不足による燻り臭が原因です。

酸味はクエン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、酒石酸、コハク酸といった有機酸が焙煎する事によってギ酸、シュウ酸、マロン酸などに変わりあのフルーツのような酸味に変わるのです。

いわばよくお客さんが口にする「酸っぱい酸味が嫌いです」という言葉は浅煎りによる適度な焙煎が行われていないコーヒーを飲むからに他なりません。

豆の個性を引き出す焙煎を行うと酸っぱいなどといった酸味はありません。

爽やかな酸味の生成は多糖類などの加水分解または熱分解によって生じるものです。

甘味はブドウ糖や果糖などの単糖類、ショ糖や麦芽糖などが焙煎中の熱でカラメル化反応やメイラード反応などを起して徐々に失われ、焙煎によっては残存率はほぼ0%になるようです。

理論的にいえば甘味は無いということです。

ただカラメル化した時の香りが甘味を感じさせるのではないかといわれています。

180度あたりからじっくり火を通しつつ、排気を適度にし、無駄のない時間(時間を掛けすぎると味は抜ける)で煎り上げなければおいしいコーヒーにはなりません。

どれだけ良い素材を使っても焙煎次第で素材を活かす事も、殺す事もあるのです。

ちなみにコーヒーの焙煎と化学の専門書は¥24,000ほどしました。さすが専門書です。

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